支払停止の抗弁
訪問販売、電話勧誘販売、マルチ商法、エステ契約や結婚相手紹介サービスなど、業者と各種契約を締結する際に、金額が高額となるため、業者はクレジット会社(信販会社等)の利用を勧誘してきます。
ここでは、クーリングオフや中途解約をした場合のクレジット契約(立替払い契約)について説明します。
クレジット契約(立替払い契約)を利用した場合
業者との契約を解除したとしても、クレジット会社(信販会社等)は、クレジット契約(立替払契約)は、別個の契約であるとして、立替払いした金額を消費者に請求することが考えられます。
しかし、本体である契約を解除したとしても、付随するクレジット契約(立替払い契約)を解除することができない、ということでは、消費者が多大な負担を強いられることになります。
そこで、こういった場合に、消費者を保護する制度として規定されているのが、割賦販売法第30条の4「支払停止の抗弁制度」です。
割賦販売法第30条の4「支払停止の抗弁制度」とは?
支払停止の抗弁制度とは、簡単に言うと、本体たる売買契約(役務提供契約)において、販売業者に対して生じている事由を、クレジット会社(信販会社等)にも対抗することができるというものです。
ここでいう 「販売業者に対して生じている事由」とは、
クーリングオフによる契約解除、中途解約制度による契約解除、販売業者の債務不履行による契約解除などのことをいいます。
また 「クレジット会社(信販会社)にも対抗することができる」とは、
クレジット会社からの支払請求を拒絶することができるということです。
例えば、クーリングオフを行使した場合、消費者はクレジット会社(信販会社等)からの支払請求を拒否できるということになります。
しかし、支払停止の抗弁制度は、クレジット契約(立替払い契約)自体を消滅させるものではなく、あくまで支払請求の拒絶ができるという制度です。
したがって、消費者としては、支払を停止している間に、本体たる契約の早期の処理が必要となります。
支払停止の抗弁制度の要件
割賦販売法第30条の4「支払停止の抗弁制度」を援用するためには、次のような要件があります。
商品等の販売が、割賦販売法に定める割賦購入あっせん若しくはローン提携販売であること
購入した商品(権利、役務提供)が、指定商品、指定権利、指定役務であること
相手業者に対して、次のような抗弁事由があること
a.商品の引渡しがない
b.見本・カタログ等によって提示された商品と現に引き渡された商品が違う
c.商品に明らかな瑕疵がある
d.商品引渡しが遅れたため、商品購入の目的が達せられなかった
e.商品の販売の条件となっている役務の提供がない
f .その他販売業者に債務不履行がある
g.売買契約が成立していない
h.売買契約が無効である
i .売買契約が取消しうる
j .クーリングオフによる契約解除
k.中途解約制度による契約解除
政令指定の金額以上の支払総額であること
※ 契約に含まれる商品・権利・役務の支払総額の合計が、4万円に満たない場合、リボル
ビング方式の場合には、一つの契約に含まれる商品・権利・役務の現金価格の合計が、
3万8000円に満たない場合には、適用除外となります。
当該契約が顧客にとって、商行為にならないこと
以上のほか、業者に対して抗弁事由があっても、支払停止をすることが、信義に反すると認められる場合には、対抗をすることができないと解されています。
支払停止の抗弁について、まずは、専門家に相談をしてみてください。