意思表示の取消権・不当条項の無効-消費者契約法

消費者契約法とは



消費者契約法は、消費者と事業者との全ての契約を対象とする法律で(労働契約は除外されます。)、消費者保護のための法律です。

したがって、クーリングオフ期間を過ぎてしまっている場合や、特定商取引法の適用を受けないような契約(取引)であっても、悪質な業者がこの法律に違反するようなことをしていれば、消費者契約法に基づき、契約を取消すことができるのです。

具体的に次のようなルールが定められています。

消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し


取消し①



事業者が、勧誘時に次のような行為をしたことにより、消費者が誤認して契約をしてしまった場合、消費者は申込み又は契約を取り消すことができます。

契約の重要事項について事実と異なることを告げること

例えば・・・・、
「シロアリの駆除」の勧誘で、実際にはシロアリがいないにもかかわらず、「シロアリがたくさ
んいるので、早く駆除しないと建物が駄目になる。」と言われ、消費者が誤認して契約を締結
してしまった場合などです。

将来において変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること

例えば・・・・、
海外先物取引業者に「今、金を購入すれば、一年後には必ず今の倍の価格になる」などと
勧誘され、金を購入した場合などです。


取消し②



事業者が、勧誘時に重要事項又はこれに関連する事項について利益になることを説明し、この重要事項について消費者の不利益となる事実を故意に説明しなかったことにより、消費者が誤認して契約をしてしまった場合、消費者は申込み又は契約を取り消すことができます。


取消し③



事業者が、勧誘時に次のような行為をしたため、消費者が困惑し、それにより契約をしてしまった場合、消費者は申込み又は契約を取り消すことができます。

住居等から、退去するように伝えたにもかかわらず、事業者が退去しないこと

例えば・・・・、
訪問販売業者が、自宅で勧誘を行った場合に、消費者が「帰ってほしい」と告げたにもかか
わらず、販売業者が勧誘を続けることです。

勧誘の場所から、「帰りたい」と伝えたにもかかわらず、事業者が退去させないこと

例えば・・・・、
キャッチセールスやアポイントメントセールスにより、展示会場や販売業者の事務所に連れ
て行かれ、消費者が「帰りたい」と告げたにもかかわらず、業者が勧誘を続 けることです。

上記でいう「重要事項」とは、以下の事項であって、消費者が契約をするか否かについての判 断に通常影響を及ぼすべきものをいいます。

消費者契約の目的となるもの(物品、権利、役務、その他)の質、用途、その他の内容

消費者契約の目的となるもの(物品、権利、役務、その他)の対価、その他の取引条件


消費者契約の不当な条項の無効


事業者の損害賠償の責任を免除する条項は無効となります。

例えば・・・・、
事業者の故意による損害が消費者に発生した場合、消費者は事業者に対して、その責任について損害賠償を請求することができないというような条項が定められていた場合などです。


消費者契約の不当な条項の無効



消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等で、次の部分については無効となります。

契約解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項で、これらを合算した額が、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずる平均的な損害の額を超えるものについては、その超える部分が無効

消費者が支払期日までに金銭を支払わない場合における損害賠償又は違約金の定める条項であって、年14.6%を超えるものについては、その超える部分が無効


消費者契約の不当な条項の無効



民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効となります。

クーリングオフ期間経過後であっても、消費者契約法による契約解除・解約ができる場合がありますので、諦めずに一度、ご相談ください。