海外先物取引  ~ クーリングオフ ~

海外商品市場における先物取引の委託契約も、要件を満たせば、クーリングオフをすることができます。

特定商取引法で定められているクーリングオフとは、少し違いがありますが、「海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律第8条」により、消費者は実質的に損害なく、海外先物取引の委託契約を解除することができるようになっています。

したがって、実質的にはクーリングオフと同じ効果が生じます。

ここでいう「海外先物取引」とは、海外の取引所において上場されている商品等の先物取引のことをいいます。

海外の地域としては、ロンドン、ニューヨーク、シカゴ、パリや香港などの地域が対象となります(もちろん、この他にも地域はあります。)。

国内先物取引はクーリングオフの対象外となります。

「海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律第8条」  --  一部抜粋  --

海外商品取引業者は、海外先物契約を締結した日から14日を経過した日以後でなければ、当該海外先物契約に基づく顧客の売買指示を受けてはならない。ただし、海外商品取引業者の事業所においてした顧客の売買指示については、この限りではない。
2 前項の規定に違反して受けた顧客の売買指示に基づいて海外商品取引業者がした売付け若しくは買付け又はその注文は、当該海外商品取引業者の計算によってしたものとみなす。

海外先物取引業者との委託契約は、民法に定める「委任」の性質がありますので、当事者はいつでも契約の解除をすることができます。

さらに、上記の第8条に定める「14日間」以内であれば、実際に取引ははじまらず、この14日間は、海外先物業者に損害が発生することはありません。

よって、消費者は、損害の負担なく、契約解除をすることができるのです。

これが、実質的にクーリングオフによる契約解除と同じなのです。

海外先物取引の実例

海外先物取引の契約をした方の中には、非常に悪質な業者による執拗な勧誘により、不本意に契約をしてしまったというケースが多々あります。

電話による勧誘からはじまるのですが、呼んでいないにもかかわらず、自宅や会社へ来訪しようと、まずは執拗に勧誘を行ってきます。

次の段階で、自宅や会社、喫茶店や車の中で、海外先物取引業者が接触をしてきて、そのまま強引に契約の申し込みをさせられます。

中には、消費者金融から借入れをさせられて、強引に金銭を預託させられたというケースもあります。

しかし、安心してください。

当事務所では、契約解除とともに、預託した金銭の返還請求を海外先物取引業者に対して行います。

海外先物契約締結から14日以内であれば、問題なく返金されたケースが多々ありますので(返金されないケースはほとんどありません。)、無理な勧誘によって契約をしてしまった場合など、不本意な契約をしてしまった方は、早期のクーリングオフ(契約解除)を推奨します。

海外先物規制法が定めるクーリングオフの要件

海外の取引所において上場されている商品等の先物取引であること

※ 海外商品市場は、「海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律施行令」
で、その地域や商品が具体的に定められています。

海外先物契約を締結した日から14日を経過していないこと

※ この14日間は、業者が顧客の売買指示を受けてはいけないという期間です。
したがって、契約締結から14日以内であれば、取引が始まらないので業者に損害が生
じないであろうという期間であり、契約解除ができなくなる期間ではありません。

海外先物取引のクーリングオフは、一般的にいうクーリングオフとは異なりますので、まずは、専門家に相談をしてみてください。